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Skarocksteady Soundsystem

音楽と写真と暮らす毎日

奔別炭鉱 変電事務所 

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目の前に連続する廃に胸が高まる。
この頃の僕は無心に写真を撮りつづけていた。

書いている現在は目的を失ってしまって
また廃墟への道を辿ろうとしている。
何も達成していないのに。








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天井は高く、目に飛び込む色は白だ
歩きづらい雪原から開放され建物に入ったときの静寂感は
この業界、だれでも感じたことがあるんじゃないだろうか。
風に吹かれても届かなかった所まで、
久しぶりの雪が落ちる。












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汲み取り式の便所の槽は未だ凍っている。
便器の穴から見える氷を伝わってきた光が不思議な物に見える。

大半は失われてしまう蓋もちゃんと残っているんだよ













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2階部分は事務室みたいな場所になっている。
モダンな造りは今の時代に見られないもの。
氷点下と風に吹かれながら、この時代まで辿りついた。
現在から来た人間はどこかで見たような光景に
惑わされながら写真を撮る













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しかしながら時は経っている。
椅子からぶらさがる素材が僕の趣味だ。
幌内の洞穴でも書いたが、昔のゲゲゲの鬼太郎の単行本の
各巻の最後に収録されていた通常とはタッチの違う暗い話が収録されていた。
それに何か感じるものがあり影響を受けている。
誰にこの事を言っても細かすぎて伝わらないが。







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椅子の座部分のクッション材はよくわからない植物が充填されていた。
働いている最中に、煙草の煙をくゆらせる光景も昔は当たり前だったが
今は見られる機会も減ってきている。
書類と新聞を残して人間はこの場所から
去った。











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新聞は年上だった。
赤旗新聞 (日曜版)
1970年6月14日
日本航空 よど号ハイジャックの少し後の頃だ。









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山を囲み一周して立坑の裏側に下りて来た。
この立坑は北海道が誇るシンボルなんだろ。

ドライブで三笠・岡山方面から桂沢湖に向かう道すがら左手に見える錆付いた立坑には
気にもしない素振りで車を走らせる対外的な自分。

違う休日にはドライブの男女に怪訝そうに見られながら
廃墟に入っていく内省的な自分。

そんな2重生活の日々。








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100年採炭できるといわれていたこの炭鉱の密閉作業中に起きた爆発事故によって
色々な箇所が歪んでいる。
アンチではありますが窓の奥に人が居ないかは気になります。
もちろん居ませんが風で鉄が泣いています






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書いていて思い出したが、今年の中秋の名月にはこの立坑と
月を写真に撮ろうと思っていたが忘れてしまっていた。
それが今日だったとは。












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足元には時代遅れの建物を嫌というほど表現するように
住友石炭の張り紙が風にからかわれていた。




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奔別炭鉱 隧道 

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斜面に深い足跡の穴を残しながら山側に回りこんだ先には斜度のついた穴があいていた
砂利状になった滑りやすい地面をゆっくり降りてゆく。





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途中の頭上はオープンで密度の高い汚い雪が耐えている。
ボーっと空を見ていると隧道内に馴れていた目に再び暗闇を落とした。








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隧道に漏斗型した形状のコンクリートがぶち込まれている。
その仕事は非常に雑だ。
雪解け水が流れており髄道内はウェットだ。レンズの曇りを拭うが際限がない。




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外側から見るとこのような形状に。








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そしてここにも動物の死骸の一部が。
その他の部分は略奪されて、別の命に与えた。
暗い気温の低い内部で見たその
毛皮は綺麗だった。







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下部から上部を望む。
足元に散らかる残骸でわかるように隧道内部の状態はよくない。
内部にいて崩壊を想像することは無い。
先人の足跡を見て、あなたもお好きよねと。





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そして下部はこの穴から出てくる。
一見して、怪しすぎるほど遺構を教えてくれている。
はじめの頃はこういった穴にも一喜一憂していたが、人間は経験を重ねる。
はじめに感じたものは二度と還ってこないもので、
趣味としての賞味期限は確実に短くなっている。







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山を一回りするように戻ってきた場所は
一面ふきのとうが芽吹いている。
春の陽光が人の心を躍らすこんな日に
これを見上げた2年前の僕は楽しかったんだろう。







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隣接して変電関係の施設か
謎に異国臭ただようこの建物は外壁が剥がれてブロックが見えている。
廃美極まりない。









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屋根は落ち、室内だったところは木々が育っている。
月日は流れ、今に至る。












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中には数台の廃車が棄てられている。
どれも比較的新しめだ
カローラバン DX
僕とほぼ同じ年代の4代目かと思われる。

親近感なんて沸かず
こいつは全く時代遅れと思った。








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奔別炭鉱 坑口 

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残雪の大地に斜坑が口を空けている。
密閉はされているが、汚い雪の色に朽ち果てたコンクリートが強烈な印象をもたらした。
銘板などは見当たらない





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すぐ傍らにはもうひとつの斜坑が佇んでいる。
坑口の直線状に路盤が確認されるのでベルト斜坑であることは間違いない。
遠目には黒い穴が見えたのでもしかして・・・と心踊ったが、1mくらいで密閉されている。







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密閉前には動物の骨が。
鹿の背骨だろうが気分の良いものではない。季節はとっくに春を迎えているが
ここも活動範囲という事か。なんとなく振り返ってみたが、熊みたいな
killdozerが立っていた。







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視界には排気ブロワーがずっと見えているが、
近づいてみる。連結する建物は扇風機室だろう。
新緑が出る前の木々と黒白が独特の味わいとなって、写真を撮っていても楽しかった記憶。
ある程度自分の表現の仕方が決まっていて、
写真が転用されることはない。








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直下へ。
意外と大きくこの大地に不気味だ。いきなり音をたてて、動き出しそうな恐怖感
がある。








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風洞と扇風機の間には羽も残っている。
幌内布引坑で見たような巨大な扇風機だろう。あの時は水の溜まった鉄の箱の上を
緊張して進んだが、ここは脇から体をこじ入れて撮影した。







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住友石炭より注意書きが。
この扉は開けることができなかったが、中を見られるサイトもあります。
平成18年ってつい最近じゃないか。否、最近ではありません。
遺構を周ると最近の定義をも狂わす。







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少し移動して、長屋の建物へ
この建物の面積は広めで、鉱員事務所のような印象がある。
扉は開いている。入れということなのです。
自分が立っている位置はまだまだ雪によって高いのが写真で伝わるだろうか。






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窓の一部は看板だったろう1文字でふさがれている。
古い時代の字だ。








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どちらかといえば、僕も廃墟寄りなんだろう。
長い年月をかけて熟した廃が目の前に広がった。
純粋に素敵な光景だと思った。
木の窓枠、光、煉瓦、2色の壁。
僕はもうずっと遠いところまで来たんだ。そしてもう戻ることはない







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天井に開いている穴から雪が積もっていた
ずいぶんと記憶の雪よりかは小さくなっている。
この地にもやっと春が訪れた
緑の世界が広がるまでに来なくてはならなかった。
そしてこんな休日を選択し、
僕はここに立っている。








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春の匂いと廃の臭い。
一年前の僕はそんな毎日だった。









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